マネージャーは柵のロープに手を掛けると、身をかがめてくぐり抜け、白装束の方に近づいて行った。

 一番前に立つ大柄な男の前まで進むと、何やら声をかけて話を始める。

 ワーポンは呆れた顔で振り返り、後ろ手を組んでトボトボとボクらの方に戻ってきた。


「いったいどないなっとんでっか?」

 ワーポンは釣りキチさん子に視線を送った。


「あたしもちゃんと聞いてないんやけどね。うちのマネージャーが二回目に敷地に入れたんは、宗教団体の中に高校の時の同級生がいたからやって。もともとこの山はそいつの家の土地で、この団体の中では幹部クラスをやってるらしい。見た感じは気色悪いけど、話をしたら昔のままで、根が優しくておとなしいええやつやってよ。けっして筋の悪い宗教団体じゃあないって言うてたわ」

「あのミイラみたいな大男がでっか」

 ワーポンは口をゆがめた。

 と、マネージャーが柵をくぐって「えらいこっちゃ」と声を上ずらせながら戻ってくる。

 笑顔の消えたマネージャーを皆が取り囲んだ。


「裏見滝に続く岩場の道がさっきの地震で崩れて、お年寄りと教祖が取り残されちゃあるんやてよ。さっきまで皆でいろいろやったんやけどどうにもならんかして、ほえで助けを求めにこちらに来たらしいんやして。わいが反対側から登れる道知っちゃあるさけえ、そっちからいっぺん行てみるかっちゅうて今話したところやして」

 マネージャーは言い終わるが早いか、また柵の方に戻って行った。

 柵のロープを持ち上げるとボクらに向かって手招きをする。



「よし、みんな行くでー」

 ハセポンの号令と共に、ボクらは次々と柵に向かいロープをくぐり抜けた。


 キdャdチdャ